98年12月(1)
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98年12月4日
来週の今頃には、既にWAR年内最終戦「DESTINY」が終わっているはずだ。今の状況から行くと、メインイベントのカードは天龍・越中 対 佐々木・山崎のまま変更はされないだろう。「オレがWARだ。」と叫び続けた荒谷選手の声は届かなかったと言うことになる。
週刊ゴングによると天龍選手は荒谷選手を評して「健介、山崎組を変えてまでって言うインパクトは、荒谷にないよ」とのことだ。そんな荒谷選手ではあるが、荒谷選手個人のレスラーとしての力強さ、重さ、スピードと言ったものは、充分に水準を満たしていると言うか、相当のところまで来ていると僕には思える。駒沢のような大きな会場で、天龍選手とシングルマッチを闘うにたるレスラーだと思う。
それでいながら、天龍選手に「何か」言われてしまうのはなぜか。その一つの要因は、荒谷選手がWARと言う団体をどうしたいと言う方向性を示していない、そのことにあるのではないだろうか。少なくとも、僕にはそう思えるのだ。
天龍選手がWARを離れてから、荒谷選手はWARを代表する選手として頑張ってきたことは、紛れもない事実だ。その点において、荒谷選手が「オレがWAR」だと叫びを上げることに間違いはない。しかし、一方で「WARと言う団体は何か」と問われたときに、荒谷選手は「これだ」と答えられる方向性を持っているのだろうか。また、その方向性を各選手に示し、引っ張って来たのだろうか。どうもそのあたりが見えてこないように思える。
今のWARの試合は、よく言えばそれぞれが独自の個性を持っているが、悪く言えば、果たして団体としてまとまっているのだろうかとなる。荒谷選手が「オレがWARであり、WARはオレが創る」となるならば、例えば、第一試合からメインイベントまで全てに「ビシリ」と自分の意見を反映させるくらいでも良いのではないかと思う。そうしてWARの団体としての色を創って行ければと。
▲ひたちなか大会で菊地選手相手に見せた天龍選手の鬼気迫る攻めは、天龍史上にも残るほどのものだった。
▲もはや全く動けなくなった菊地選手の上に乗り3カウントを奪う天龍選手。
▲地元への凱旋試合を終えた菊地選手の貌がこれである。この激しさ。
WARの前シリーズ「DNA」最終戦だったひたちなか大会で、天龍選手は菊地選手をメッタ打ちに叩きのめした。菊地選手の胸板は何発ものチョップでドス黒く腫れ上がり、口からは血を流していた。週刊誌の記事では触れられていなかったが、このひたちなか市は菊地選手の地元と言ってよい場所であり、実際この日のリングサイドには菊地選手を応援する人たちが数多く集まり、声援を送っていた。そんな試合会場で、天龍選手は菊地選手に花を持たせる素振りも全く見せずにメッタ打ちにしたばかりか、体固めでもなく、見方によっては屈辱的にも見える押さえ込み方で試合を終わらせている。
このひたちなか大会の前日に行われた本川越大会は一宮選手の地元だった。この本川越大会で一宮選手と対戦したのは菊地選手で、菊地選手は言ってしまえば一宮選手に花を持たせる形で、ケレン味たっぷりに負けて見せている。この試合、地元の一宮選手ファンにとっては、良い試合だったのかも知れないが、僕にしてみれば「あれ、こんなことで良いのかな」となった。
そこへ前述したひたちなか大会での天龍選手の試合ぶりとなれば、そのあまりの対照ぶりに僕には「天龍選手が示すべきものを示したのだな」と思える。そして、これをすべきは荒谷選手だったのじゃないかとも。
僕は一介のレスリングファンに過ぎないから、ここに書いたことは荒谷選手たちにしてみれば「人の気も知らずに何を簡単そうに書いているのか」となるかも知れない。それはそれでやむをえないことだろう。ではあるが、やはり荒谷選手が本当にWARの「長」にならなければ、WARと言う団体が永く続くことにはならないと思う。そのためには、荒谷選手がいろいろな意味で、WARと言う団体にビシリと筋金を入れ続けなければ。
僕は夢想する。いつか荒谷選手が天龍選手とシングルマッチを闘うときに、WARの選手全員が荒谷選手のセコンドにつき、試合が終わったときには、荒谷選手を応援していたセコンドのWAR選手たちが思わず涙を流す、あたかも川崎大会の二瓶組のように。そこまでWARが荒谷選手の元でまとまり上がれば、さすがに天龍選手も「何か」を言うようなこともないだろう。
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