![]() | 99年4月(5) |
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今僕は渋谷に出来つつあるオフィスビルの地下にいる。このあと行われるサーバーの引き渡し作業を待って、地下倉庫でリブレットのキーボードを叩いているのだが、なにせ建築作業途中なので、有機溶剤の匂いがきつい。こんなところに終日いたら、おかしくなってしまいそうだ。早く作業が終わらないかな。
こうした工事現場に足繁く通うことは、社会人となってからは初めての経験である。しかし、学生時分には"美装屋"のアルバイトをしていた時期があるので、工事現場へよく出かけた。府中、渋谷、本八幡……。あとどこへ行ったかな。
"美装屋"と言うのは正式な名称なのかどうかは知らないが、要は工事現場での下働きとでも言うか、床掃除をしたり、養生(作業中に什器などを傷つけることがないように張り巡らせてある保護材)をはがしたり、あるいは固まってしまったコンクリートの飛沫をはがして回ったりと、こんな塩梅である。
このアルバイトをしていたときに"ケンカ無敗の男"と出会ったことがある、"自称"のケンカ無敗だが。その男の名前をここでは仮に"神奈川"としておこう。
神奈川と出会ったのは、府中の現場だったが、この男とにかく仕事をしない。何かと言うとお茶を飲んでいるか、どこかへ姿を消してしまうかのどちらかだ。どうにも得体の知れない男だった。
さて神奈川はよくしゃべる男でもあった。ことにお気に入りとなっていた吉野(彼と一緒にアルバイトをしていたのだ)相手ともなると、その饒舌ぶりが加速する。その中で出てきたのが「オレはケンカで一度も負けたことはない。」との"神奈川不敗神話"宣言であった。
果たして、神奈川は不敗の男なのか。しかし彼の体躯と言えば研ぎ澄まされたと言うよりも栄養不足と言った方がぴったり来るようなもので、到底強そうには見えない。それでも、僕らは「はぁ、そうですか。凄いですねぇ。」などと聞いていたのは、現場初体験であったし、まだ20歳にもならない小僧っ子であったからだろうか。
さて、僕らが素直に話を聞くことに気をよくしたのか、神奈川のケンカ談義は日毎に熱を増してきた。熱を増したのは良いが、ネタに詰まったのか、はたまた自己融解を起こしてしまったのか、なんと"不敗神話"に綻びが。「オレはキミたちも知っているある男にだけ、一度だか負けた。」と言うのである。
あれだけ"不敗"を強調していた男が僕らにだけ明かすその男とは一体誰だろうか。しかも僕らも知っているような男とはそれは……。
「オレはアイツにだけはやられた。アイツは強い。"ジェリー藤尾"ってのは凄えんだ。大したもんだ。」
なんとまあ、神奈川の不敗神話を破ったのはジェリー藤尾だったのだ。ジェリー藤尾こそが最強なのだ、最強の男を相手にしたオレも大したものだろうと、神奈川は強調した。
ジェリー藤尾はとにかく強い、最強だ。これは確かにあの府中の現場で聞いた最強伝説。地下倉庫に充満する有機溶剤のにおいが、ジェリー藤尾最強伝説を脳裏に蘇らせた。ジェリーが最強。
日曜日なんだから、きっちりと更新作業をしようと思っていたのだけれども、ぐうたらしてしまって、最早こんな時間だ。全くよろしくない。良い子のみんなはこんな生活まねしちゃダメだぞ。
書きたいことと言うか、ネタを喰っていることはいくつかあるのだけれども、時間が時間になってしまったので、また後日書きます。ここのところ、しくじれない仕事があるので、レスリングハイを見てくれている人たちには退屈な思いをさせているかも知れませんが、もうちょっと待ってください。ガーンッと何かやります、と言うか、やれると良いなと。